革靴を買ったらまず最初に防水スプレーをする人は多いでしょう。こうしておけば多少雨にぬれても平気ですし、履く前にスプレーしておくのはシューケアの基本ですね。
でもどんな靴にでもOKというわけではありません。使い方を誤ると思いもしなかったことが起こり、ショックを受けることがあります。
色が落ちた!
これは防水スプレー自体がいけないと言っているわけではなく、靴によっては使い方に気をつけましょうという話です。
注意が必要なのはこのタイプ。
どこのものとはいいませんが日本の靴です。見てほしいのは革です。アンティーク仕上げというのかパティーヌ仕上げというのか、とにかく茶色のムラ感を出してある革ですね。ベルルッティが人気になって以来、このタイプのものは日本製の靴にもふえました。
価格は2万円台前半くらいまでのものが当てはまるでしょうか。
これらの靴の何に気をつけなければならないかというと…
先日、こんな方がいたのです。
”防水スプレーをかけて布で拭いたら色が落ちた!”
写真はないのですが、見ると確かにそこの部分だけ白っぽくなっていました。
もともと防水スプレーはかけた後は乾くまでそのままにしておくものなので、この方がどうして拭いてしまったのかは分かりません。
が、アメダスなどは比較的噴霧の粒子が大きく、スプレーすると表面がビショッとした感じになりますからつい拭きとりたくなった、というのも理解できます。
で、とにかく拭いたら革の色が落ちてしまった…ということなのです。
修理屋さんに見てもらっても、こうなってしまってはクリームで色を入れることはできないと言われたそうです。
染めの違い
革の染めには大きく分けて「染料仕上げ」と「顔料仕上げ」があります。詳細は他のサイトをご覧いただければと思うのですが、ごく簡単に言うと、「染めている」か「ペイントしている」かの違いです。
おそらくこの靴は顔料で染められていたのでしょう。顔料は水には強いのですが、表面にペンキを塗っているような状態なので溶剤を使うと簡単に落ちます。そのため防水スプレーを拭きとったら一緒に落ちてしまったのでしょう。
ここで話はちょっと横道にそれますが、歩いているときにガムが靴底にくっついてしまうことがまれにありますよね?ガムはなかなか取れません。
ですが防水スプレーを吹きかけて拭きとるとガムが簡単に取れるんだそうです。これなどは防水スプレーの溶剤としての強さを表しているともいえますね。
そういうこともあり、このタイプの靴には「色落ちの可能性があるので油性のクリームは使わないように」といった注意書きが入れられていることが多いのですが、まさか防水スプレーでそんなことになるとは誰しも思わないでしょう。お客様はもちろん、店員さんもそこまでは想定できないと思います。
でもくれぐれも防水スプレーは拭きとらないように。そのままにしてフッ素が立ち上がってくるのを待ちましょう。
スプレーだけじゃない
じゃあ防水スプレーさえ気をつければ平気なの?というとそうとも言えません。
靴クリームでも落ちてしまうこともあるのです。実は、この靴にニュートラルのクリームを塗って布でゴシゴシしたら、場所によっては同じように色落ちしてしまいました。やはり顔料は水以外のものには弱いと考えた方がよさそうです。特にこのムラ感を出している靴は気をつけてください。
ですのでクリームをぬるときはあまり強く拭かずに、軽く撫でるように磨いてあげるくらいが安心です。でもそれじゃ磨く楽しみが…という人は染料で染めた靴を買いましょう。ある程度の価格のものは染料ですので安心です。
というわけで、防水スプレーには気をつけて、どうぞ楽しい靴ライフをお過ごしください♪
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